「恒常性」（homeostasis） は生命現象の基本原理の一つであり，その統合的な理解と制御は人類の健康の持続，疾患の克服に大きな寄与があると考えられてきました．近年の生物学の発展 と各種テクノロジーの進歩により，生命現象を経時的，動的に捉える研究が可能になりつつあります．つまり，個別の臓器の観察に焦点を当てた研 究手法から，神経系，免疫系，内分泌系，脈管系などの構造ネットワークが，伝達物質等を介した 「機能ネットワーク」 により接続された高次ネットワークの時空間的変容を捉え，複数の臓器間の機能連関の実態解明に迫る 「多臓器円環のダイナミクス」 研究手法へと，パラダイムシフトが起こることが予想されます．本シンポジウムは，「多臓器円環のダイナミクス」 研究の実現に向けた萌芽的，先駆的な事例の紹介や，医療現場や社会から求められるニーズとの邂逅を踏まえた研究開発ロードマップを策定するとともに，研究者コミュニ ティのみならず科学技術政策コミュニティも交え，ロードマップの実現に向けた技術・制度・人材面での支援のあり方，研究者コミュニティの連携 や自助努力を以って克服・解決すべき研究推進上の課題について，多様な学術研究分野間で認識を共有し，今後の当該分野の振興を目指す提言をま とめていくことを目的としています．

◆プログラム

10:00-10:20	開催挨拶・趣旨説明  入来　篤史　（理化学研究所 脳科学総合研究センター）
10:20-12:30	第１セッション  多臓器円環のダイナミクス研究に関する学術的意義と推進上の課題
	座長：	須田　年生　（慶應義塾大学 医学部）
	話題提供：	三宅　健介　（東京大学 医科学研究所）  片桐　秀樹　（東北大学医学部） 望月　敦史　（理化学研究所 基幹研究所） 山中　宏二　(理化学研究所脳科学総合研究センター) 鍋島　陽一　（先端医療振興財団先端医療センター）
	総合討論：	「研究開発のロードマップ」策定に向けて」
12:30-13:30	休憩
13:30-15:45	第１セッションからの継続討論　「研究開発のロードマップ」策定に向けて
	座長：	須田　年生　（慶應義塾大学 医学部） 小安　重夫(慶應義塾大学 医学部)
	パネリスト：	入来 篤史　(理化学研究所 脳科学総合研究センター) 倉持 隆雄(文部科学省 研究振興局) 小島　至(群馬大学 医学部) 高橋　淑子　(奈良先端科学技術大学院大学  　　　　　　　　　　　　バイオサイエンス研究科) 仲野　徹　（大阪大学 医学部） 真鍋　一郎　（東京大学 医学部） 湊 長博　（京都大学 医学部）
15:45-16:00	まとめ・閉会挨拶   永井　良三　（東京大学 医学部）  終了後、小柴ホールホワイエにて 情報交換会

企画委員会 企画委員長：永井良三（東京大学） 
企画委員：入来篤史（理化学研究所）、小安重夫（慶應義塾大学）、
　　　　　　 坂口志文（大阪大学／京都大学）、須田年生（慶應義塾大学）、他