新学術領域研究「統合的神経機能の制御を標的とした糖鎖の作動原理解明」 【研究概要】 糖鎖は、核酸、タンパク質と並ぶ第三の生命鎖として生命活動を制御する。糖鎖構造は複雑であるだけでなく、一次構造さえもダイナミックに変化する。そこには機能と直結する秘密が隠されているはずである。機能を糖鎖全体に求めるのではなく機能最小単位として機能ドメインを設定することにより、糖鎖シグナルを解読しその制御機構に迫ることができると期待される。一方、神経科学に目を転じると、例えば、記憶・学習の場であるシナプスにおいて、様々なタンパク質性の制御因子や細胞内シグナリングの解明が飛躍的に進んできた。しかし、シナプスの機能的・形態的変化については未解明な点が多く、膜受容体や細胞外基質の糖鎖による制御機構の重要性が注目されつつある。
本領域では、下に記した研究項目A01とA02について研究を推進する。糖鎖科学研究者と神経科学研究者が多重的・多層的に協力し、共通のプラットフォームの上で議論を進め、糖鎖機能ドメインを軸に、糖鎖による神経機能制御機構を解くことを目指す。この取り組みを推進するためは、従来の糖鎖、神経の研究に加えて、細胞内シグナル、構造、バイオインフォーマティクスなどを含めた多角的なアプローチによってコンセプト作りに貢献する研究が必要である。さらに糖鎖・神経研究に貢献する技術開発によって新たな展開が望まれる。
このような研究(2年間)を公募する。1年間の研究は応募の対象としない。なお、研究分担者を置くことはできないが、領域参画後は領域内で融合的に研究を遂行することが望ましい。公募研究の採択目安件数は、単年度あたり応募額500万円を上限とする研究を3件程度、400万円を上限とする研究を15件程度予定している。
なお、研究内容の詳細については、 領域ホームページ(http://shinkei-tosa.net)を参照すること。 【研究項目】 A01 細胞外糖鎖による神経機能制御 A02 細胞内・細胞表面糖鎖による神経機能制御
領域代表者 門松健治