今年度採択された科研費新学術領域研究「脳内環境:恒常性維持機構とその破綻」(領域略称名:脳内環境)では、平成24, 25年度の2年間の研究を公募中です。
公募要領は下記および文部科学省の下記webページをご参照ください。 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/boshu/1310474.htm
各研究項目(A01-A03)の内容に関しては、領域ホームページ (http://www.neurol.med.kyoto-u.ac.jp/brainenvironment/)をご参照頂くか、もしくは下記計画研究班員にお問い合わせ下さい。
領域代表者 高橋良輔
脳は多彩な細胞群からなるコミュニティーであり、神経細胞の健全性は周囲のグリア細胞等の保護機能や細胞間分子の授受など、「脳内環境」の恒常性によって維持されている。一方脳病態形成においては、神経細胞そのものの変調のみならず、グリア細胞によるメディエーターや異常タンパク放出を介した病巣の伝播など細胞外環境を撹乱する新知見が明らかとなり、いまや脳病態の理解には神経細胞内外を包括した「脳内環境」の恒常性維持機構の解明が必須である。そこで本領域では、A01 神経細胞内メカニズム(脳内環境破綻をきたす神経細胞内メカニズムの解明)、A02 神経外環境(脳内環境維持・破綻と環境破壊の伝搬メカニズムの解明)、A03 イメージング(新たなイメージング技術による脳内環境の恒常性とその破綻の可視化による解明)の3 つの研究項目を設け、様々な分野の研究者を交えた新たな先端融合研究領域を創出する。 このため、下記の研究項目について、「計画研究」により重点的に研究を推進するとともに、これらに関連する2年間の研究を公募する。1年間の研究は公募の対象としない。なお、研究分担者を置くことはできない。 公募研究の採択目安件数は、単年度当たり(1年間)の応募額1000 万円を上限とする重点研究を2 件程度、500 万円を上限とする一般研究を13 件程度予定している。 本領域を強化する、精神・神経疾患の研究、グリア細胞生物学、神経内分泌や神経発生・再生等の基礎研究、さらに個体・細胞レベルの新規イメージング技術を駆使した研究提案を期待する。特に若い世代の研究者の新しい着想による提案を歓迎する。 なお、研究内容の詳細については、領域ホームページ(http://www.neurol.med.kyoto-u.ac.jp/brainenvironment/)を参照すること。
(研究項目) A01 神経細胞内メカニズム A02 神経外環境 A03 イメージング
(計画研究代表者) A01 神経細胞内メカニズム 高橋良輔(京都大): タンパク分解系障害による脳内環境変調と神経変性メカニズム 服部信孝(順天堂大): 脳内環境における封入体形成のメカニズム:封入体と神経細胞死の関連性について 内山安男(順天堂大): 神経軸索におけるタンパク分解機構とその破綻 内匠 透(広島大): 神経細胞におけるRNA障害と脳内環境の関連研究
A02 神経外環境 山中宏二(理研): 脊髄環境の恒常性維持とその破綻:グリア-神経連関からみた神経変性機序の解明 木山博資(名古屋大): 脳内環境の破綻を制御する新たなグリア・神経間応答機構の探索とその機能解析 川上秀史(広島大): オプチニューリン遺伝子異常による脳内環境の変化と神経変性の関わりの解明
A03 イメージング 樋口真人(放医研): 毒性伝達機構の分子イメージングを基軸とした神経変性疾患研究